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Labor Management in Vietnam

ベトナム労務マネジメント

STRENGTH

価値観が異なる国での人材育成

PRONICSが初めてベトナムへ進出したのは、ホーチミン市のタントゥアン輸出加工区にPRONICS VIETNAM Co.,Ltdを設立した2002年です。日本の中小企業としては比較的早い時期の進出だったように思います。タントゥアン輸出加工区はホーチミン市中心部の1区からわずか5km足らずの7区にあります。都心から近いということはそれだけアクセスがよく労働者が集まりやすいということになり、またお客様にご見学いただくのにも便利なため、初めて進出した地域としては大変にビジネス展開しやすい好立地であったと思います。それでも、文化も習慣も異なり、労働者のマネジメントなど勝手が分からないことも多い中で、日本ではまずもって聞くことの無いような事件、事故が起こるのは日常茶飯事でした。「ゴミはゴミ箱へ!」「現場で横になって寝るな!」「雨の日もちゃんと来い」などなど、日本ではまずもって発言する機会のないワードを何十回、何百回と言い続けたかわかりません。加工現場では毎日のように放電加工用の電極(銅材)ワイヤー銅線、小道具が消えます。「レンチ1本を売り飛ばせば、1食分の飯になる」。当時のベトナムはそんな価値観の労働者も少なくなかったのです。その中で人を育て、モノづくりができる社内風土を醸成してきました。

PRONICS HANOIはベトナムに初進出してから15年目の2017年に操業をスタートしました。ハノイ市内中心部から40kmも離れているハナム省のドンヴァン3工業団地にあります。都心から遠いので、物価も、最低賃金も大都市より安い地域なのですが、労働者獲得の企業間競争は都市部よりも激しく、結果、ここ数年は都市部より高いワーカー賃金水準となっています。だからこそPRONICS HANOIでは生産効率の最適化を徹底しなければなりません。材料、道具の盗難に悩まされた15年前のことが嘘のように、これまでのベトナムでの製造経験を活かした人材マネジメントでスムーズに生産が開始されました。

どの国にも、勤勉な人も、輩もいる

南北1,650km、東西650kmと縦長の国土を有するベトナムは、歴史上の越し方をみれば物理的、政治的、文化的に南北分断が続いた時期が長く、同じベトナム人とはいえ「北部人」と「南部人」では言語・方言をはじめとして、風土や風習、人々の性質までが異なります。首都はハノイですが、ホーチミン人に首都は?と聞くと「ホーチミンが首都だ」と答える年配者もいるようで、大阪が「東京、何するものぞ」とライバル視している関係のようで、日本と少し似ていますね。

一般的にハノイ人は真面目で堅実、ホーチミン人はおおらかで大胆と言われていますが、PRONICSがベトナムビジネスの中で実感していることは、ベトナム人スタッフの「勤勉さ」と「道徳性」「向上心」です。確かに前項で述べたように、窃盗事件も起こりましたし、出世した同僚を地元ギャングに襲わせるような輩がいるのも事実です。ですが、そういった事件はベトナムに限ったことではなく、中国でも、タイでも、フィリピンでも、シンガポールでもよく聞く話ですし、日本でも無い話ではありません。そういった事件に遭遇する割合、頻度、程度の差こそあれ、どこの国でも事件を起こす輩もいれば、非常に勤勉・実直な労働者もいるのです。問題は、いかに勤勉・実直な労働者に安心して働いてもらい、いかに輩をトラブル少なく排除していくかです。リーダーとして引き上げた労働者は同僚から嫉まれ、トラブルに巻き込まれやすいもの。極端な引き抜き人事に気を付けながらも、いざこれはと見込んだ労働者を経営陣が全力で守る姿勢を分かりやすく示し、明言することが重要です。そして不穏な動きが見受けられる輩については速やかに契約更新を行わないことが重要となります。
こういったファジーな労務管理を外国人が行うことは非常に困難です。「地元の村の人に聞いたら、あの人がギャングへ依頼したとの噂がある」「辞めたあの人が、大量引き抜きに掛かっている」などなど、スタッフからの事前情報で早い対策が打てて、事なきを得たことは一度や二度ではありません。とはいえ、一人のスタッフに全幅の信頼を置いて、その言い分ばかりに耳を傾けると王様の側用人状態になるので、また別の大きなトラブルが起こります。ベトナムでは個人レベルの信頼関係や繋がりを複数のスタッフ達と築けるか否かが、労務管理に大きく影響するのです。

日本人が悪者になり、リーダーを守る

技術者は他者へ技術を教えたがらないというのは、よく聞く話です。食い扶持であるノウハウをライバルに教えたくないという心情は理解できないわけではありませんが、会社としては技術の向上、作業の標準化を進める上で、技術指導・技術移譲はある程度、技術者に承服してもらわなければなりません。ここで気を付けなければならないのは、労働者が本源的に嫌がる技術移譲をローカルリーダーの責任で行ってはいけないということです。キラリと光る技術や指導力を持つものは上位職に上げていくわけですが、リーダーは同僚から嫉まれやすい立場に追いやられます。そのリーダーが古株だったり、社内政治に強い者であれば問題は最小化しますが、高い技術をもった転職組だったり、センスが光る新卒組で先輩をごぼう抜きする時などは、どれほどのトラブルに発展するか分かりません。そんな若きリーダーが「新人に技術を教えてあげて」と古株に言おうものなら大変です。ただでさえ古株は頭越しに出世されて面白くないうえ、自分の技術が盗まれるような強迫観念に囚われてもおかしくはありません。またリーダー自身が技術移譲を嫌がるケースも当然あります。
必ず、リーダーには「あなたの技術で、部下を育てることもリーダーの査定評価基準だ」と、日本人経営者が明確に伝え、リーダーと教える側の技術者、教わる側の労働者、この3者がいる場で全員に対して「この技術を教えて、この工程ができるように指導しなさい」と、リーダーの責任ではなく、日本人の責任で指示しなければならないのです。若きローカルリーダーのマネジメントが組織に馴染み始めれば、そこまでの心配はいりませんが、人事が動いてすぐの時期は注意を払うに越したことはありません。「○○さんが言っている」「○○さんの指示だ」「文句なら○○さんに言って」と、リーダーにはお題目のように日本人を悪者にさせ、リーダーへの嫉妬や恨みの矛先を日本人へ転嫁させます。日本人がどれだけ恨まれようとも、住所も非公開で、車通勤をしているのですから、ギャングに襲われることもありません。以前、海外赴任者が不用意にもワーカーへ住所を漏らして、鍵穴にセメントを流し込まれた事件もありましたが、ちゃんと最低限の注意を払っていれば、避けられるトラブルです。

スタッフに好かれることも外国人管理職の責務

悪者になることが重要な仕事であれば、スタッフから信頼され、好かれることも当然、管理職の大切な役割です。ベトナムでは会社の懇親会や慰労会、社員旅行などレクリエーション活動を重要視している労働者が非常に多くいます。社員本人のみならず子供など家族の参加も一般的で、PRONICSの日本人経営者の中には懇親会の景品カンパや、子供たちへのお小遣いをポケットマネーからだす者もいます。金額の過多以上に、社員への感謝や慰労の気持ちを分かりやすい形で表すことは、言葉がネイティブに伝え合えない外国人経営者にとってはとても有効なコミュニケーションと言えます。先の写真はPRONICS HANOIの女性リーダーのご実家へPRONICSメンバーが押し掛けた時の写真です。ハノイ工場スタッフ、ハノイへ出張中だったホーチミン工場スタッフ、日本人赴任者、PRONICS(日本)の取締役などなど、様々なセグメントのPRONICSメンバーとご実家のご両親、夫、兄妹、子など総勢30名で大宴会した帰りに、酔っぱらいながら駐車場までぷらぷら歩いていた時に撮影しました。会社主催ではなく、完全なるプライベート写真なのです。スタッフとの胸襟を開いた関係作りが会社運営を円滑にし、ひいては確かなものづくり体制を築くことに繋がります。

 

今なお人口ボーナス期にあるベトナムの人口は2019年、越統計総局発表で約9500万人。その玉石混淆の宝の山から、ものづくりを確実にできる人材を見つけ出し、育て、技術に活かすための労務ノウハウをもったPRONICSグループが皆さまのベトナム製造を全力でサポートいたします。