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Risk Hedge by Manufacturing in Vietnam

ベトナム製造で地政学リスクを軽減

STRENGTH

世界中が地政学リスクだらけ

米中貿易対立、英国のブレグジット、EU経済格差、香港・台湾の統治権剥奪、朝鮮半島情勢、中東紛争などなど、今や世界中が地政学リスクだらけです。かつての地・海・空の空間領域に加えて、現在は宇宙空間・サイバー空間も加わり、地政学リスクは複雑さを極め、そのリスクへ対する見極めと対策は重要度を増しています。「紛争」や「緊張関係」といった従前の直接的なリスクだけではなく、昨今は「自国第一主義」や「サイバー紛争」など、自身のビジネスにどのような形でリスクが顕在化するかが読みづらいリスクが増えてきています。グローバル展開するビジネスにおいて地政学的リスクを無視することはできません。とはいえ、具体的な対策といっても調達先を細分化しリスクヘッジするくらいしか対策の取りようがないことも事実です。あらゆることが複雑な要因・遠因となって、リスクとなりうる時代にあって「ベトナムにはリスクはありません」とは言いきることはできません。しかしながら、先進国も、途上国も地政学リスクを避けられない現代において、リスク分散をする地域としてベトナム社会主義共和国は有益な選択肢になり得るとの認識は大袈裟ではないように思います。

ベトナムという国の越し方

ベトナム社会主義共和国は、その名の通り社会主義国です。ベトナム共産党による一党体制ですが、自由主義的バランス体制の側面もあり、治安や社会情勢などの政治リスクは相対的に低い国とされていますし、我々がベトナムでビジネスをしていても社会主義的強権が発動される場面に出くわすケースは多くはないように感じます。もちろん、役所などでは担当者によって言うことが異なり、罰金を要求されるなどの開発途上国あるあるは日常茶飯事です。それでも昨今の「自国第一主義」で国家の統制や社会政策が急激に変化し、過度な管理貿易に民間が右往左往させられるというようなリスクは、2007年のWTO正式加盟以降では大きく軽減されているといえます。
ベトナムの歴史は、フランスやアメリカ、カンボジア、中国との長い戦争の日々でありました。1976年の南北統一後、1986年にドイモイ(刷新)政策が打ち出され、計画経済から市場経済へと大きく舵が切られます。外交面では全方位型の外交を展開し、国際的,地域的枠組みにも積極的に参加。1995年ASEAN加盟、1998年APEC加盟、2008年には国連安保理非常任理事国に初選出されるなど国際競争力強化に取り組んでいます。FTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)の締結も積極的に進められ、2019年4月時点で12のFTAが発効済となっています。ちなみに、ベトナム初の二国間FTAは2008年に締結、2009年に発効された日本とのFTAです。ASEAN域内の関税もほぼゼロとなったことで、今後ますますベトナムがアジア地域の新しいハブ拠点へと成長することが予想されます。

国策として外資を誘致

社会主義国でありながらベトナムは民間企業の設立を認めるだけではなく、国策として積極的に外資誘致に取り組んできました。投資規制も段階的に緩和されており、2007年のWTO正式加盟以降は多くの業種・分野が市場開放され、外資企業も国内企業と同じ法制度・枠組みで扱われるようになってきました。実は、日本はベトナムの法整備支援に重要な役割を果たしてきました。日本国政府が1994年にベトナムの司法関係者を招いて研修を実施し、それ以降も法整備支援は継続しています。2020年10月に菅首相が訪越した際にも、人道支援・安全保障・経済協力など幅広い分野で協力関係が確認される中で、法整備についても引き続き日本国が支援することで合意されました。安定したビジネス環境の整備・構築が今後ますます進むことでしょう。
2020年ベトナム新投資法(61/2020/QH14)では「創造的スタートアップ投資プロジェクト」が新設され、知的財産分野における開発・成長が見込める新興企業への優遇施策が新しく発表になるなど、ベトナムが自由主義との絶妙なバランスで成長分野への投資を促進していく姿勢と意気込みが伺える定期法改正となりました。グローバルサプライチェーンにおける重要拠点として世界で台頭し始めたベトナムはもはや、ビジネスで無視できない存在となっています。

調達の細分化、リスク分散にもベトナムは有益な選択肢です。
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フック首相と日本企業との対話会にPRONICSも参加(写真提供:JETROハノイ)